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2024年08月02日
ピクトリコ ショップ&ギャラリーでは2024年9月3日(火)〜8日(日)、アラタンホヤガ 写真展
「遥かな故郷 ーモンゴル高原の記録」を開催いたします。皆様のご来場をこころよりお待ち申し上げます。
内モンゴル自治区に生まれた私は、内モンゴルに住む遊牧民たちの伝統的遊牧文化と暮らしを撮影し続けて既に10年以上が経った。
近年の中国の目覚ましい経済発展に伴い、内モンゴルの様々な資源が注目され、レアメタルや石炭や石油の鉱山の開発、広範囲の開墾などが草原の衰退、砂漠化の進化の原因になっている。さらに中国政府はモンゴル人の文化的な、言語的な同化のために、遊牧民たちの「定住化」を奨励してきた。その結果、バランスの良い遊牧によって保たれてきた自然のサイクルが崩れ、草原生態のバランスが崩され、砂漠化が進み、豊かな草原が失われつつある。
定住化により伝統文化が衰退し、地域性、民族性も失われつつある。近い将来において、遊牧文化と遊牧民たちの生活様式が消えゆく危機に直面している。経済発展や教育の普及などにより、若者は便利な都会の生活に馴染み、不安定な遊牧民の暮らしよりも安定した都会の生活を望み、都会に残る若者が圧倒的に増えている。その一方、日本のように田舎にはお年寄りや僅かな若者しか残っていない。彼らの生活も伝統的な季節ごとの移動する遊牧ではなく、定住化し、車やバイクや携帯などの現代的な道具による便利な生活様式に変わりつつある。
上記の通り、内モンゴルの遊牧民は政治的、経済的、社会的な要因によって、伝統文化、言語、そして、アイデンティティーを失っている。私は彼らの現在の生活の中に断片的に残されいる伝統文化と変わりつつある日常をなるべく客観的に撮影し、記録し、次世代に残すように努めている。
また、2015年に念願の新疆ウイグル自治区のモンゴル人の取材ができた。短い期間だったが、この地域のモンゴル遊牧民の現状、未来について、自分のレンズを通して、記録することができた。
私は写真家として、上記の諸社会問題に焦点を与え、時代に翻弄されながら、時代と共に未来に向かう遊牧民の「今日」を記録していく責任感と使命感を感じている。